社労士の勉強を初めて始めるなら、いきなり通信講座を選ぶのではなく、まず7ステップで実際に勉強を始めてから、自分に合う学習方法を判断すればOKです。
まずは、この7ステップで進めます。
- 受験資格と試験の全体像を確認する
- 受験する年度を決める
- 教材を1系統に絞る
- まず1科目を勉強する
- 学んだ範囲の問題をすぐ解く
- 間違えたところへ戻る
- 7日間続けて、自分に合う学習方法を判断する
ポイントは、独学か通信講座かを、勉強を始める前に決めなくてもよいことです。
まず1週間、実際に「読む→解く→戻る」まで経験してみます。そこで、学習計画を立てるのが難しいのか、分からないところを自力で処理するのが難しいのか、復習を続けるのが難しいのかを確認します。
不足している部分が分かってから、独学を続けるのか、Web講義や模試だけ追加するのか、通信講座を利用するのかを決めたほうが、自分に必要なサポートを選びやすくなります。
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社会保険労務士・FP/資格・労務の専門サイト運営
労働・社会保険分野の実務経験と資格学習経験をもとに、社労士受験生向けの教材・通信講座・学習方法を解説しています。
講座を一律にすすめるのではなく、独学を含め「その人が続けられる学び方」を選べる情報提供を心がけています。
社労士初心者が最初に知っておきたい試験の全体像
社会保険労務士試験とは、労働・社会保険に関する幅広い知識を、選択式と択一式で問う国家試験です。
試験では、労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、一般常識などを学びます。
現在の試験制度では、選択式が8科目・40点、択一式が7科目・70点です。さらに、総得点だけでなく科目ごとにも合格基準が設定されます。
| 項目 | 選択式 | 択一式 |
|---|---|---|
| 科目数 | 8科目 | 7科目 |
| 満点 | 40点 | 70点 |
| 主な形式 | 空欄の語句・数字を選ぶ | 選択肢の正誤を判断する |
| 学習ポイント | 用語・数字を思い出す力 | 正確な知識で判断する力 |
| 合格判定 | 総得点+科目別基準 | |
この試験構造から分かるのは、得意科目だけを伸ばせばよい試験ではないことです。
↓
問題を解く
↓
苦手なところへ戻る
↓
もう一度全体を回す
最新の確定合格率は5.5%
2025年度(第57回)試験では、受験者43,421人に対して合格者は2,376人、合格率は5.5%でした。
5.5%は、初受験者・再受験者、独学者・講座利用者などを含めた受験者全体の数字です。
ここまでは試験の基礎ですが、初心者にとって本当に考えることは、これだけ広い試験範囲をどうやって何か月も回し続けるかです。
法律初心者でも社労士合格を目指せる?
法律を勉強した経験がなくても、社労士合格を目指せます。
ただし、法律初心者ほど注意したいのが、最初の1周ですべて理解しようとしないことです。
たとえば、労働基準法を初めて勉強すると、労働時間、休憩、休日、36協定、割増賃金、変形労働時間制など、聞き慣れない制度が続きます。
最初から条文や例外、細かな数字まで全部覚えようとすると、最初の科目から進まなくなります。
↓
問題を解く
↓
間違えた場所を確認する
↓
テキストへ戻る
この往復を繰り返すうちに、最初はバラバラだった知識が少しずつつながってきます。
💡 現役社労士ワンポイント
初学者が止まりやすいのは、「分からないまま進んではいけない」と考えたときです。ただし、何も理解せず読み飛ばすことと、主要な仕組みを理解して細部を後回しにすることは別です。1周目は全体の地図を作り、問題演習で必要になった部分へ戻るほうが、複数科目を最後まで回しやすくなります。
STEP1|受験資格と試験の全体像を確認する
最初に行うのは、教材選びでも講座比較でもありません。
まず受験資格を確認する
社労士試験には受験資格があります。
- 学歴による受験資格
- 実務経験による受験資格
- 一定の国家試験等の合格による受験資格
実務経験ルートでは、該当する業務内容や従事期間など細かな条件もあります。個別判断が必要になる場合もあるため、必ず社会保険労務士試験オフィシャルサイトの「受験資格について」で確認してください。
試験科目と合格基準を確認する
STEP1では、次の3点を理解できれば十分です。
□ 複数の労働・社会保険科目を勉強する
□ 選択式と択一式の2形式がある
□ 総得点だけでなく科目別の合格基準がある
STEP1の完了ラインは、「自分は受験資格を満たし、どのような試験を受けるのか理解する」状態です。
STEP2|受験する年度を決める
受験資格を確認したら、いつ受験するかを決めます。
例年8月下旬が本試験日
社労士試験は、例年おおむね次のスケジュールで実施されます。
- 申込期間: 4月中旬~5月末
- 試験日: 8月下旬
- 合格発表: 10月上旬
参考までに、2026年度は次の日程でした。
- 申込期間: 4月13日~5月31日
- 試験日: 8月23日
- 合格発表: 10月1日
受験する年度の正式な試験日程は、社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験のご案内」で確認してください。
1週間に使える勉強時間を計算する
= 1週間の学習時間
たとえば、平日1.5時間、土日4時間ずつなら、
1.5時間 × 5日 + 4時間 × 2日 = 15.5時間/週
48週間(約1年間)続けると、
15.5時間 × 48週 = 744時間
になります。
まとまった勉強時間を確保しにくい場合は、通勤時間や昼休みを問題演習・復習に使う方法もあります。
スマホなら、動画講義だけでなく、一問一答や過去問まで進められるため、スキマ時間を学習時間へ変えやすくなります。
社労士の勉強時間は800~1,000時間が一つの目安
社労士の受験情報では、800~1,000時間程度が学習時間の目安としてよく紹介されています。
| 1週間の学習時間 | 48週間の合計 |
|---|---|
| 10時間 | 480時間 |
| 15時間 | 720時間 |
| 20時間 | 960時間 |
| 25時間 | 1,200時間 |
STEP3|市販教材を1系統に絞る
受験年度と学習時間を決めたら、次は実際に使う教材を決めます。
ここでは、まだ通学・通信講座を選びません。
まず7日間、自分で学習を回せるか試すために、市販教材を1系統に絞ります。
必要なのは、基本的に次の2つです。
最初から複数の出版社の教材を買いそろえたり、一問一答やまとめ本まで用意したりする必要はありません。
この7日間の目的は、市販教材だけで合格できるかを判断することではなく、
「自分で読んで、問題を解いて、間違えたところへ戻るところまで回せるか」
を確認することです。
学習期間を決めたら、教材を用意します。
最初は基本テキスト+問題集を軸にする
| 教材 | 主な役割 | 初心者の優先度 |
|---|---|---|
| 入門書 | 試験の全体像を知る | ○ |
| 基本テキスト | 分からないときに戻る | ◎ |
| 問題集・過去問 | 理解できているか確認 | ◎ |
| 一問一答 | スキマ時間の反復 | ○ |
| 法改正・白書教材 | 最新情報を補う | 後半 |
| 模試 | 本試験形式で確認 | 直前期 |
市販教材には、それぞれ役割があります。
最初の7日間では、基本テキストと対応する問題集があれば十分です。
たとえば、基本テキストで「労働時間」を読んだら、同じシリーズの問題集で労働時間の問題を解きます。
テキストと問題集の構成が対応していれば、
↓
同じ論点の問題を解く
↓
間違えたページへ戻る
という流れを作りやすくなります。
入門書は必要?
必須ではありません。
基本テキストを開いてみて、「何の話をしているのかほとんど分からない」と感じる場合に、入門書を利用します。
入門書は、社労士試験の地図を見る教材と考えると分かりやすいでしょう。
教材を増やしすぎない
A社の基本書、B社の一問一答、C社のまとめ本……と増やしていくと、どこまで終わったか、何を覚えたか、どこが苦手なのかが分散しやすくなります。
7日間では「市販教材だけ」で試してみる
今回の記事では、STEP7で初めて、
- 独学を続ける
- Web講義などを部分的に追加する
- 通信講座を利用する
- 通学を検討する
といった学習方法を判断します。
そのため、STEP3の段階では、いったん市販教材だけで学習サイクルを試します。
7日後に、
「テキストを読んで問題まで自分で進められそう」
と感じれば、独学を続ける選択があります。
一方で、
「文章だけでは理解しにくい」
「何をどこまで勉強すればいいか判断できない」
「学習計画を自分で作る負担が大きい」
と感じた場合は、STEP7で通学講義や通信講座を検討します。
STEP4|まず1科目を勉強する
教材を決めたら、情報収集をいったん止めます。
実際に1科目を始めてください。
独学なら労働基準法から始めやすい
独学の場合は、労働基準法から始める方法が取り組みやすいです。
会社員なら、労働時間、休憩、休日、残業、有給休暇など、仕事と結びつけて考えられるテーマが多いためです。
1科目を100%完成させようとしない
労働基準法を1周したら次へ進み、後から再び労働基準法へ戻る、という進め方です。
STEP5|学んだ範囲の問題をすぐ解く
1テーマ学んだら、問題を解きます。
基本テキストを全部読み終えるまで、問題集をしまっておく必要はありません。
テキストを全部読み終えるまで待たない
↓
同じ範囲の問題を解く
↓
分からなかったところを確認
1テーマ学んだら5~10問解く
最初から100問解く必要はありません。
記事内の実践目安として、1テーマ学んだら5~10問程度から始めます。
正解数より「分からない場所」を見つける
10問中3問しか正解できなくても、今の段階では問題ありません。
「どこへ戻ればいいか」が分かったこと自体が、問題演習の成果です。

STEP6|間違えたところへ戻る
問題を解いたら、正解・不正解だけを確認して終わらせません。
すべてを最初から読み直さない
1問間違えるたびに章の最初から全部読み直すのではなく、間違えた論点へ絞って戻ります。
数日後にもう一度解く
今日正解した問題でも、数日後には答えを思い出せないことがあります。
忘れたこと自体を失敗と考える必要はありません。
「読む→解く→戻る→解き直す」を繰り返す

STEP7|自分に合う学習方法を判断する
ここまで来て、初めて独学か通信講座かを判断します。
最初の7日間はこの順番で進める
| 日 | 対応STEP | やること | ゴール |
|---|---|---|---|
| Day1 | STEP1 | 受験資格・試験確認 | 受験できるか確認 |
| Day2 | STEP2 | 受験年度・週間時間 | 期限を決める |
| Day3 | STEP3 | 教材を1系統に選ぶ | 教材探しを終了 |
| Day4 | STEP4 | 最初の1テーマ | 勉強開始 |
| Day5 | STEP5 | 問題を解く | アウトプット開始 |
| Day6 | STEP6 | 間違い復習 | 復習を経験 |
| Day7 | STEP7 | 1週間を振り返る | 学習方法を決定 |
Day7で確認するのは点数ではない
□ 勉強時間を実際に作れた
□ 決めた教材を開けた
□ 問題演習まで進めた
□ 分からない部分を調べられた
□ 間違えた問題へ戻れた
5項目セルフ診断で学習タイプを確認する
□ 計画:1週間の予定を作れる
□ 修正:予定が崩れても組み直せる
□ 理解補助:分からない論点を処理できる
□ 情報更新:法改正・白書・模試を追加できそう
□ 反復:同じ教材へ何度も戻れそう
YES 2~3個:ハイブリッド型を検討
YES 0~1個:通信・通学を検討
※この5項目は合格可能性を判定する科学的テストではありません。自分に必要な学習サポートを整理するための目安です。
独学・ハイブリッド・通信・通学を比較する
| 比較軸 | 独学 | ハイブリッド | 通信講座 | 通学 |
|---|---|---|---|---|
| 費用 | 抑えやすい | 中間 | 高くなりやすい | 高くなりやすい |
| 自由度 | 高い | 高い | 高い | 低め |
| 学習順序 | 自分 | 一部外部化 | 講座側 | 学校側 |
| 質問 | 基本は自力 | 含む場合あり | 含む場合あり | 直接聞きやすい |
| 法改正 | 自分で追加 | 含む場合あり | 含む場合あり | 含む |
「何を外注するか」で学習方法を決める
- 学習順序:次に何を勉強するか
- 重要論点の選別:どこへ時間を使うか
- 進捗管理:予定を立て、遅れを修正する
- 質問・理解補助:分からない部分を解決する
- 法改正・白書・模試:後半の追加対策を準備する
自分でできる部分まで外部へ任せる必要はありません。逆に、すべてを独学で抱える必要もありません。
通信講座を利用したいものの、できるだけ受講料を抑えたい方という声をSNSなどでよく見かけます。料金を重視して選びたい方は、費用を抑えられる社労士通信講座を比較してみてください。
>> 安い社労士通信講座を比較する
社労士初心者がやってはいけない勉強法7つ
- 受験資格を確認せず始める
- 受験年度を決めず、空いた時間だけ勉強する
- 教材を次々に買い足す
- 1科目を100%完成させるまで次へ進まない
- 問題演習を最後まで後回しにする
- 間違えるたびに章の最初から読み直す
- 実際に勉強する前に「独学か通信か」を決める
まとめ|7ステップでまず1週間始めてみよう
社労士初心者が最初にやることを、もう一度整理します。

初心者が最初に決めるのは、「どの通信講座を買うか」ではありません。
まず7日間、読む → 解く → 戻るところまで実際に経験してください。
この順番なら、「初心者だから通信講座」「費用を抑えたいから全部独学」という二択になりません。
社労士初心者によくある質問
社労士は法律初心者でも合格できますか?
法律学習の経験がなくても目指せます。
最初から法律用語をすべて理解しようとせず、基本テキストと問題演習を往復しながら少しずつ理解を深めます。
社労士は独学でも合格できますか?
独学で受験すること自体は可能です。
ただし、教材選択・学習計画・質問・法改正・白書・模試などを自分で管理する必要があります。
「初心者だから独学は無理」ではなく、自己管理できるかで判断してください。
社労士初心者に入門書は必要ですか?
必須ではありません。
基本テキストを読んでも全体像がつかめない場合に、入門書を先に使う方法があります。
基本テキストや入門講義で理解できるなら、入門書を追加しなくても構いません。
社労士のテキストは何冊必要ですか?
最初は基本テキスト1系統+問題集1系統を軸にします。
教材を増やすのは、法改正、白書、模試など目的が明確になってからで十分です。
最初は何の科目から始めればいいですか?
独学なら労働基準法から始める方法が取り組みやすいです。
通信講座などカリキュラムが用意されている場合は、基本的に講座の順番に従います。
1日何時間勉強すればいいですか?
1日の時間だけを固定する必要はありません。
たとえば平日は1~2時間、休日は3~4時間など、1週間単位で確保できる時間を計算したほうが現実的です。
いつから勉強を始めればいいですか?
一般に資格学校は800~1,000時間程度を目安として紹介しているため、働きながらなら長めに期間を取るほうが1日あたりの負担を下げられます。
ただし必要時間には個人差があり、公式に「○時間必要」と決められているわけではありません。
過去問はいつから解けばいいですか?
基本知識を全部覚えるまで待つ必要はありません。
学習した範囲の問題から早めに解き、間違えたところをテキストへ戻す方法が取り組みやすいです。
初心者は通信講座を利用したほうがいいですか?
初心者という理由だけで通信講座を選ぶ必要はありません。
学習予定を立てられない、質問先が必要、法改正や直前対策まで自分で管理したくない場合は、通信講座を使うメリットが大きくなります。
働きながらでも社労士を目指せますか?
働きながら受験する場合は、平日だけに勉強時間を頼らず、
- 通勤
- 昼休み
- 帰宅後
- 休日
へ分散させる方法があります。
2025年度の合格者について厚生労働省の資料では、職業別で会社員が58.4%を占めています。少なくとも、仕事をしながら合格している人が相当数いることは公式データから確認できます。
参考文献