「社労士試験に何度も落ちて、もう諦めようか……」
そんな気持ちになっている方も多いのではないでしょうか。
社労士試験は決して簡単な試験ではありません。令和7年度の第57回社会保険労務士試験では、受験者43,421人に対して合格者は2,376人、合格率は5.5%でした。
しかも、社労士試験には総得点だけではなく、科目ごとの基準点も設けられています。そのため、総合点では十分に合格圏に入っていても、たった1科目の「足切り」によって不合格になることがあります。
実は、私自身もその経験を何度もしました。
私は社労士試験に6回連続で不合格となり、7回目でようやく合格しました。
この記事では、そんな私がなぜ6回落ちても社労士試験を諦めなかったのか、そして何度も不合格になった経験から感じた「諦めるべき人」と「まだ諦めなくていい人」の違いについてお話しします。
- 社労士試験に6回落ちても諦めなかった
- 私が「諦めない」と決めていた基準
- 「社労士を諦めない=何年でも続ける」ではない
- 選択式の足切りで落ち続けた私が感じたこと
- 「何回も落ちた=向いていない」とは限らない
- 1年目で合格できなかったことは、決して無駄ではない
- 勉強した知識は、合格前から役に立つ
- 社労士試験を諦めるべきか迷ったら確認したい5つのポイント
- 不合格になった直後は、無理に気持ちを切り替えなくていい
- 「諦めない」ためには、休むことも大切
- 社労士試験は「諦めない人が勝つ試験」なのか
- それでも諦めたくないなら、受験できる環境に感謝してみる
- 遠回りしたからこそ見える景色がある
- 【まとめ】社労士試験は、合格できる実力があるなら簡単に諦めなくていい
社労士試験に6回落ちても諦めなかった
まず、私の受験経験について簡単に紹介します。
1回目の受験は、合格レベルにすら届いていませんでした。
ところが、2回目以降は少しずつ実力が付いてきました。
直前期の全国模試では複数の予備校を受験し、3校を掛け持ちしたこともあります。その結果、ほとんどの模試でA判定をもらえるようになり、「これなら合格できる」という手応えも感じていました。
ところが、本試験ではなかなか結果が出ません。
私が5回続けて味わったのが、選択式の1点に泣くという結果でした。
総合的な実力は付いている。
択一式・選択式でも十分に戦える。
模試でもA判定が出る。
それなのに、本試験では選択式の基準点割れで不合格になる。
これは精神的にかなり堪えます。
結果が出た直後は「もう二度と受けたくない」と何度思ったことか。
それでも、しばらくするとまた勉強を始めていました。
私が「諦めない」と決めていた基準
では、なぜ私は6回も不合格になりながら受験を続けたのでしょうか。
決して「何が何でも合格するまで続ける」と最初から決めていたわけではありません。
むしろ、毎年のように自分の中で「次でダメだったら諦めよう」と考えていました。
ただし、私には一つだけ明確な基準がありました。
それが、
「合計点が合格基準を下回ったら諦める」
というものです。
ここでいう合計点とは、選択式または択一式の総得点を指します。
社労士試験は、総得点だけで合否が決まる試験ではありません。
選択式と択一式それぞれに総得点の基準があり、さらに各科目にも基準点があります。どちらか一方でも基準を満たせなければ不合格です。
たとえば令和7年度試験では、選択式は総得点22点以上、原則として各科目3点以上、択一式は総得点42点以上、原則として各科目4点以上が基準となりました。ただし、試験問題の難易度などを考慮して科目ごとの基準点が補正されています。
つまり、総合点が十分に高くても、科目基準点を1点下回れば不合格になる可能性があります。
私は、総合点そのものが合格基準に届いていないのであれば、それは実力不足として受け入れるつもりでした。
しかし、総合点は合格基準を大きく上回っている。
それなのに、選択式の1科目だけ1点足りない。
そんな結果で「自分には無理だ」と諦めることだけはしたくありませんでした。
「ここまで来ているのに、1点で諦めてたまるか」
それが、私が受験を続けられた大きな理由です。
「社労士を諦めない=何年でも続ける」ではない
ここで重要なのは、私の経験をそのまま「何回落ちても絶対に諦めるな」という話にしないことです。
私はむしろ、諦める基準を決めていたからこそ続けられたのだと思っています。
社労士試験は、受験を続ければ必ず合格できる試験ではありません。
勉強方法が間違っているにもかかわらず、何年も同じやり方を繰り返していれば、時間だけを失ってしまう可能性があります。
特に注意したいのが、毎年ほぼ同じ点数で不合格になっているケースです。
「あと少しだった」と考えること自体は悪くありません。
しかし、その「あと少し」を埋めるための具体的な対策がなければ、翌年も同じ結果になる可能性があります。
だからこそ、不合格になったら、
- 総得点はどの程度だったか
- 選択式と択一式のどちらが弱かったか
- 足切りになった科目はどこか
- 知識不足だったのか
- 問題演習不足だったのか
- 本試験で実力を発揮できなかったのか
- 勉強時間そのものが不足していたのか
を冷静に分析する必要があります。
「諦めないこと」と「何も変えずに続けること」は、まったく違います。
選択式の足切りで落ち続けた私が感じたこと
私の場合、最大の壁になったのが選択式でした。
択一式では合格圏に入っている。
しかし、選択式の1科目で基準点に届かない。
これを何度も繰り返しました。
社労士試験の選択式は、各科目5点満点の問題です。8科目合計40点満点で、科目ごとの基準点も設定されます。
この形式が、社労士試験の難しさの一つです。
仮に総合的な知識量が十分にあっても、出題された文章の文脈や細かな法律用語を正確に判断できなければ、1点、2点を失うことがあります。
もちろん、「社労士試験は運だけの試験」という意味ではありません。
合格するためには十分な知識と問題演習が必要です。
ただ、十分に勉強していても、毎年の出題内容との相性によって結果が左右される面があることは、長年受験した私自身が強く感じた部分です。
だからこそ、一度の不合格だけで「自分には才能がない」と判断する必要はないと思っています。
「何回も落ちた=向いていない」とは限らない
社労士試験に何度も落ちると、
「自分は社労士に向いていないのでは?」
と考えてしまいます。
しかし、不合格回数だけで適性を判断するのは早計です。
特に、
- 全国模試で安定して合格圏に入っている
- 過去問で一定の得点を取れている
- 総得点は毎年合格基準付近にある
- 一部科目だけで足切りになっている
- 知識量そのものは年々増えている
という方なら、すでに合格に必要な土台ができている可能性があります。
むしろ必要なのは、「さらに勉強すること」だけではなく、不合格の原因を特定して、弱点を一つずつ潰すことです。
社労士試験は、毎年受験することで過去問や法改正、判例などに対する理解が深まり、知識の定着を図りやすくなるという側面もあります。
私自身、1年目と複数年受験した後では、法律の見え方がまったく違いました。
1年目で合格できなかったことは、決して無駄ではない
今振り返ると、私は1年目で合格できなくてよかった、とさえ思うことがあります。
もちろん、当時はそんなことを考えられる余裕はありませんでした。
1年目は、とにかく覚えることで精一杯です。
「この数字を覚える」
「この条文を覚える」
「この要件を覚える」
という勉強になりがちでした。
ところが、2年目、3年目と繰り返し学習していくと、
「なぜこの法律があるのか」
「なぜこのような制度になっているのか」
「この規定は、別の法律とどうつながっているのか」
といった部分が少しずつ見えてきます。
単なる暗記だった知識が、体系的につながっていくのです。
これは複数年受験の大きなメリットだと思います。
アガルートの社労士試験コラムでも、合格者の学習期間には13か月以上が多く、合格までに長期間学習する受験生が一定数いることが紹介されています。
もちろん、短期間で合格できる人もいます。
しかし、1年で合格できなかったからといって、それだけで能力が低いわけではありません。
勉強した知識は、合格前から役に立つ
もう一つ、複数年受験してよかったと思うことがあります。
それは、合格する前から社労士の知識が仕事で役立ったことです。
私は企業に勤めていた時期、社労士試験の勉強で身につけた労働・社会保険の知識を仕事で活かす場面がありました。
まだ社労士ではありません。
当然、社労士として業務を行えるわけでもありません。
それでも、労働基準法や社会保険、労務管理などについて学んでいると、職場で起きていることを以前より深く理解できるようになります。
「社労士試験に合格していないから、今までの勉強は全部無駄」
これは違います。
勉強した知識は、合格前から仕事や日常生活の中で活かせるものがあります。
むしろ、何年も勉強してきた人ほど、知らないうちに専門知識が蓄積されています。
社労士試験を諦めるべきか迷ったら確認したい5つのポイント
何回も不合格になって「もう諦めよう」と思ったときは、感情だけで判断するのではなく、次の5点を確認してみてください。
1.総得点は合格圏に近づいているか
まず確認したいのが総得点です。
毎年少しずつでも得点が伸びているのであれば、学習の方向性は大きく間違っていない可能性があります。
反対に、何年勉強しても得点がほとんど変わらないのであれば、教材や勉強方法、時間配分などを見直したほうがよいでしょう。
2.足切りだけで不合格になっていないか
総得点は十分なのに、1科目の基準点だけ届かない。
この場合は、「社労士試験に合格できる実力がない」と決めつける必要はありません。
むしろ、科目別の弱点を明確にして、次年度にそこを重点的に補強することが重要です。
ただし、救済措置などを前提に学習計画を立てるのはおすすめできません。
合格基準は年度ごとの試験結果や難易度などを踏まえて決定されるため、毎年同じ基準になるとは限らないからです。令和7年度も、前年から合格基準が補正されています。
3.模試で合格圏に入っているか
模試の結果も重要な判断材料になります。
ただし、模試でA判定だったからといって合格が保証されるわけではありません。
私自身、複数の予備校の模試でA判定を取っていましたが、本試験では不合格になりました。
だからこそ、模試は「合格できるかどうかを占うもの」ではなく、現在の実力と弱点を確認するためのものと考えるのがおすすめです。
4.勉強方法を改善できているか
何年も不合格が続いている場合、単純に勉強時間を増やすだけでは足りないことがあります。
たとえば、
「テキストを読む時間ばかり長い」
「過去問の繰り返しが不足している」
「選択式対策を後回しにしている」
「法改正や白書・統計対策が不足している」
といった問題がないか確認してみましょう。
複数年受験者の場合、知識量を増やすだけでなく、合格点を取るための勉強に切り替えることが重要です。
5.本当に続けたいと思っているか
最後は、最も重要なポイントです。
「周囲が受けているから」
「ここまで勉強したから」
「お金をかけたから」
という理由だけで受験を続ける必要はありません。
時間もお金も使いますし、家族や仕事とのバランスも考える必要があります。
それでも、
「やっぱり社労士になりたい」
「ここまで来たら合格したい」
と思えるのであれば、もう一度挑戦する価値はあります。
不合格になった直後は、無理に気持ちを切り替えなくていい
社労士試験に落ちた直後は、本当に苦しいものです。
特に、あと1点だった場合はなおさらです。
「また1年やり直しか」
「何百時間勉強したのに」
「家族にも申し訳ない」
そんな気持ちになるのは当然です。
私も毎回、奈落の底に突き落とされたような気分になりました。
そんなときに、無理やり前向きになる必要はありません。
私は、不死鳥が傷ついた羽を癒すように、しばらくじっとしていればいいと考えていました。
落ち込むだけ落ち込む。
試験のことを考えたくなければ、考えない。
そして少し気持ちが回復してきたら、また机に向かう。
これでいいのだと思います。
「諦めない」ためには、休むことも大切
受験を続けるうえで、意外と重要なのが休むことです。
何年も受験していると、勉強そのものよりも精神的な疲労が問題になることがあります。
毎日勉強しなければならない。
去年より点数を上げなければならない。
今年こそ合格しなければならない。
こうしたプレッシャーを抱え続けると、長期間の学習を継続することが難しくなります。
だからこそ、不合格直後は一度勉強から離れても構いません。
大切なのは、「休むこと」と「諦めること」を混同しないことです。
1週間休むことと、受験をやめることはまったく違います。
社労士試験は「諦めない人が勝つ試験」なのか
「社労士試験は諦めない人が最後に勝つ」
この言葉は、半分正しく、半分間違っていると思います。
ただ続けていれば合格できるわけではありません。
一方で、合格レベルに達しているのに、1回や2回の不合格で諦めてしまうのも非常にもったいないことです。
令和7年度の合格率は5.5%でした。つまり、受験者の大半が不合格になる試験です。
だからこそ、1回の不合格を「才能がない証拠」と考える必要はありません。
重要なのは、
「自分はなぜ落ちたのか」
を冷静に分析することです。
そして、原因が改善可能なものであれば、次の試験に向けて修正する。
これを繰り返すことが、社労士試験の合格につながります。
それでも諦めたくないなら、受験できる環境に感謝してみる
何年も不合格になると、「自分は何をやっているのだろう」と思うことがあります。
私も何度もそう思いました。
しかし、あるとき考え方を少し変えてみました。
世の中には、社労士試験を受けたいと思っていても、仕事や家庭、経済的な事情などによって受験を続けられない人もいます。
そう考えると、
「勉強できる時間がある」
「試験を受けられる環境にある」
「もう一度挑戦できる」
ということ自体が、実は恵まれているのかもしれません。
もちろん、これは「苦しくても我慢しろ」という意味ではありません。
生活や健康を犠牲にしてまで受験を続ける必要はありません。
ただ、もし受験を続けられる環境があるのであれば、それを当たり前だと思わず、もう一度だけ挑戦してみる。
そんな考え方もあっていいと思います。
遠回りしたからこそ見える景色がある
私は社労士試験に6回落ちました。
結果だけを見れば、決して効率のいい受験生活ではありません。
1年で合格した人と比べれば、かなり遠回りしています。
それでも、今となっては、その6年間をすべて無駄だったとは思っていません。
何度も同じ法律を学んだことで、以前は単なる暗記だった知識が、少しずつ体系的につながっていきました。
仕事でも、勉強した知識が役に立つ場面がありました。
そして何より、何度失敗しても立ち上がる経験ができました。
人生は、必ずしも最短距離で進む必要はありません。
遠回りしたからこそ、まっすぐ歩いた人には見えない景色が見えることもあります。
【まとめ】社労士試験は、合格できる実力があるなら簡単に諦めなくていい
社労士試験に6回落ちた私が、7回目の受験まで諦めなかった理由は、「絶対に合格できる」と信じていたからではありません。
むしろ毎年、「次でダメだったら諦めよう」と考えていました。
ただ、自分の中で一つだけ基準を決めていました。
「総得点が合格基準に届かないなら、実力不足として諦める。しかし、総得点は十分なのに足切りで落ちたのなら、まだ諦めない」
この基準があったからこそ、何度不合格になっても次の試験に向かうことができました。
もちろん、すべての人に「何年でも受験を続けるべき」と言いたいわけではありません。
勉強方法を変えても成績が伸びない。
生活に大きな負担がかかっている。
社労士になりたい気持ちがなくなってしまった。
そういう場合は、一度立ち止まって受験そのものを見直すことも大切です。
一方で、全国模試では合格圏に入っている、本試験の総得点は合格基準を超えている、足切りだけで何度も落ちているという方なら、私は簡単には諦めてほしくありません。
社労士試験は、合格基準が年度ごとに決まり、科目基準点も存在するため、実力がありながら最後の数点で不合格になることがあります。
だからこそ、不合格になったときは「自分には才能がない」と考えるのではなく、
「あと何を変えれば合格できるのか」
を考えてみてください。
私は6回落ちました。
それでも7回目で合格しました。
今、何度も不合格になって「もう諦めよう」と思っている方に、私の経験から一つだけ伝えるなら、
「本当に諦めるべきなのか、それとも、ただ今は傷ついているだけなのかを、一度分けて考えてみてください」
ということです。
少し休んでもいい。
勉強から離れてもいい。
もう一度、受験するかどうかを考え直してもいい。
そして、もう一度挑戦したいと思えたなら、そのときからまた始めればいいのです。
遠回りしても構いません。
合格するまでの道のりは、人それぞれです。
私が6回の不合格を経験して7回目で合格したように、あなたにもあなたの合格までの道のりがあります。
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