払った分に見合った支給が得られないだの、制度が破綻するかもしれないのに払っても仕方がないだの、とかく悪く言われがちな年金制度ですが、知れば知るほどそのマイナスイメージが変わってくると思います。
年金といえば老後もらうものという印象が強いのですが、重い障害を負ってしまったときの「障害年金」や、加入者が死亡したときに配偶者や子へ支払われる「遺族年金」という生活リスクに対する補償としての側面もあるのです。
さらに保険料についてですが、国民年金(基礎年金)部分は、払った保険料に税金が上乗せされています。現在は保険料の約3分の1が税金であり、将来的に消費税8%になったときには2分の1にすると定められています。
せっかく税金が投入されているのにその恩恵を受けないのは“もったいない”と思ってしまいます(どうしても払えないという時のために減免措置があるのですが、それはまた別の機会に書きます)。
また、公的年金の事務費用は全額国庫負担です。民間の個人年金の事務費用は保険料から使われてしまいます。
さらに公的年金の保険料は全額所得控除されるのに対し、個人年金は最大4万円までしか控除の適用がありません。
ちなみに、ある調査機関によると民間の保険会社が公的年金と同じくらいの保障をするには、公的年金の約1.5倍の保険料に設定しなければならないという結果も出ています。以上のことから年金制度は「意外と悪くない」といえるのです。
年金制度に否定的な方の意見とその私見
「年金は破綻するから入らない」
少子高齢化で現役世代の保険料が減る、未納者が多い、その結果年金制度が破綻するから払っても意味がないという方がいます。断言します。
国が破綻しない限り年金制度は破綻しません。
年金制度は国の威信をかけた政策です。維持させるためにあらゆる増税をしてその財源に充てます。極端な話、消費税を50%にしてでも維持させるでしょう。
年金が破綻しても預貯金や民間の保険積み立てで対応するから大丈夫とお考えの方がいるのであれば、年金が破綻=国も破綻となり日本の紙幣が紙くずになっている状態なのでリスクヘッジにはならないと申しておきます。
「年金保険料なんぞ払わずに生活保護を受ければいい」
こういった記事をネットでたびたび目にしますが、厚生年金に一切加入せず国民年金しかない方に限って言うなら確かに一理あります。
ですが、そういう提言をするならばそのデメリットも書かないと“公平な記事”とは言えないと思います。
生活保護で最低限の生活の安定は得られますが、受けることになれば行政の担当者(ケースワーカー)が定期的に訪問し、細かく助言や指導をされるので半ば監視状態のなか生活することになります。
実際それが嫌で生活保護から抜ける方、もしくは抜けようと努力する方も少なくありません。
また、なにより近所の目が痛いのが一番のデメリットではないでしょうか。
行政はバレないように努めるとありますが、ケースワーカーと顔なじみのある近所の方がいれば家に入る様子でバレますし、ケースワーカーとの会話が隣に漏れてバレることもあるでしょう(わざと大きい声で話す意地悪なケースワーカーも少数ながらいます)。
さらに、医療費が無料なのはメリットですが、近所の病院にかかるとお金を払わないことで生活保護がバレてしまうので、それを避けるためには遠くの病院に行かなければならなくなります。
ほかあらゆる状況から漏れてしまうリスクがあることを覚悟しなければなりません。
パチンコをするだけでその是非が大きく取り上げられてしまうご時世ですから、老後も人間らしい生活を送るために最初から生活保護ありきで物事を考えないことが望まれます。